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ムダにならない勉強法(樺沢紫苑)

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精神科医である樺沢紫苑氏の「ムダにならない勉強法」を読みました。同著者の本は最初に「アウトプット大全」を読んでからこれで3冊目となります。

 

ここ最近は立て続けに樺沢氏の本を読んでいました。3冊において繰り返し登場する内容もあるため、適度な復習となって良かったように思います。

 

本書では、勉強をする意味、勉強によって得られること、どのように勉強を進めれば効果的か、具体的な勉強法、勉強を継続していく方法、などが紹介されています。メインとなる勉強法としては、同著者の他の本でも紹介されている通り、アウトプットするということが基本となっています。

 

具体的なアウトプットの方法だけではなく、一般的につらいものという意識のある勉強をどのように楽しんでいくか、ということも書かれています。「勉強ができる人」の共通点は勉強を楽しんでいるということ、と本の中で解説されていますが、以前に読んだpha氏の本の中でも「なんとなく楽しんでいる奴が一番強い」ということが言われていたのを思い出しました。確かに歯を食いしばってやるか楽しみながらやるかで比べれば、楽しめた方が成長は早いはずです。「好きこそ物の上手なれ」ってことと同じなんだと思います。楽しいと感じればドーパミンが分泌され、記憶への定着も高まるという、脳科学の裏付けも紹介されています。知らない分野のことを楽しむためには楽しんでいる人に話を聞いてみたり(これもpha氏の本にありました)、勉強家の人の本などを読み、彼らの熱を感じるのもいいとされています。

 

勉強を進める際に気を付けることとして勧められていることの一つに、「守破離」を守ることが出てきます。初心者の時点で上級者レベルの内容を知ろうとしたりその逆もNGで、つまりは自分がいるステージあった勉強の仕方が必要ということのようです。これはこれまでも自分が少し気を付けている点であり、なにか新しいことを勉強しようという際はできるだけ入門書と呼ばれるものから入っていくようにしています。いきなり難解な本を手にしてそのジャンルへの興味が膨らまないということを避けるためです。ただ、自分は本をネットで買うのがほとんどなのでたまに難しくて寝かすことになっている本もありますが…。本書でも紹介されている通り、まったく未知の分野へ踏み込む際は、入門書や、漫画で解説された本、図解が多い本など(ナツメ社の図解雑学シリーズなど)から入って見るのがベストでしょうね。

 

また、新しく知ったのはミラーニューロンという神経細胞の存在です。無意識に人の真似をしてしまう細胞のようで、人から影響を受けるということにこの神経細胞が少なからず関わっているのでしょう。本書内では、考え方、行動、習慣は伝染する、と断言してあります。 確かに人は周囲の環境次第で大きく変化していくというようなことはよく耳にします。自分でも気づかないうちに周囲にいる人と同様なレベルになってくるので、なるべく自分がこうありたいと思うような人たちと交流することが必要と本書では勧められています。

  

何かを続けていくためのコツとしては、「続けよう」と意識しすぎるのではなく、「とりあえず今だけやろう」と考えることが紹介されています。続けるってことは「今やる」ってことが結果的に積み重なっただけということ。確かに「続けなければ」って意識しすぎると負担のように感じ、結果途中でやめてしまったときは自己嫌悪になり、自信がなくなります(何度も経験あり…)。「とりあえず今日だけ」という気持ちでいれば少し気が軽くなり、楽しめる余裕が出てきそうな気がします。

 

本書の核となる具体的な勉強はアウトプットであり、それは以前に読んだ本でも解説されていたため既知の部分は多くありました。しかし勉強をどう楽しむかや、どうすれば効率的な勉強ができるかといった、勉強というものに対するアプローチなどについても改めて知ることが多くありました。勉強というものをなるべく「楽しいもの」に変換して、効率的に学んでいけるようなコツが紹介されてありますので、勉強について悩んでいる方などは一読してみることをお勧めします。

 

  • 「才能」というものは存在しない。「才能」というものは単なる結果であり、結果を出せなかった人間が自己を正当化し、自分を慰めるために使う言い訳が「才能」。
  • 心の底から「楽しい」と思えるものが「適正」。「才能」というものは存在しないが、「適正」は間違いなく存在する。「勉強」することで適正は発見され、「勉強」することで適正は磨かれていく。
  • 「勉強ができる人」の最大の共通点は、勉強を楽しんでいるということ。必死になったり無理したり、やらされ感を持って勉強していない。
  • 勉強の第一歩は勉強法を学ぶことだ。つまり、「勉強法勉強法」こそが勉強のスタート。勉強を始める前に結果は9割決まる。
  • 楽しみながら勉強をすればドーパミンが分泌され、脳は集中力、記憶力を高め、「学習」に対してアクセルを踏む。イヤイヤ勉強すればストレスホルモンが分泌され、海馬の働きは低下し、記憶力が低くなる。脳にブレーキをかける。
  • 「集中学習(まとめて勉強)」よりも「分散学習(毎日コツコツ)」のほうが記憶に残りやすく学習効果が高いことが多くの心理学の実験で証明されている。
  • 問題集を何ページ解いたか、覚えた単語数、勉強時間などを毎日記録してみるとよい。「数値の変化」「微細な成果」「ちょっとした結果」でも、脳は「ご褒美」と捉えてドーパミンを分泌する。結果としてモチベーションが補充される。
  • 得意分野を作れば仕事の勉強を楽しく感じられるようになる。
  • 「自分のため」だけだと辛くなるが、「人のため」を意識すると何事も楽しくなる。人から信頼され、人から感謝されるのは人間にとって最大の喜びなのだ。
  • なんでもいいので、社内で一芸に秀でた存在になるとあなたは「必要とされる存在」になる。職場の中で小さなお山の大将になる。そうすればあなたは間違いなく仕事に関する勉強を「楽しい」と感じられるようになる。
  •  子供の場合は「長所伸展」から。大人の場合は「短所克服」を先に考えた方が得。
  • 何かを勉強しようという場合、常にそれは「長所伸展」なのか「短所克服」なのかを意識するべき。
  • 人間は自分の短所を克服することから無意識に逃げるもの。そんな時は心の中で「逃げちゃダメだ」とつぶやくとよい。
  • 自分の短所、苦手を常に意識し、それを「何とかしよう」と問題意識を持つことができれば後は楽。長所よりも短所のほうが伸びしろが大きい。
  • 自分が何を知らないかが分かればその部分を勉強すればよい。アウトプットしない限り何を知っていて何を知らないかは明らかにならない。
  • 「何となく上達したい」という目標であれば、何となくしか上達しない。
  • どうなりたいのか?ということを考え、なりたい姿を詳細にイメージできれば何を勉強すべきか、最適の勉強法が見えてくる。それだけでも勉強の効果は何倍もアップする。
  • 「とりあえず」勉強は完全なムダ。目的をもって勉強し、勉強した内容を使わなければ単なる自己満足。
  • 脳には人の動きを真似る神経細胞が存在しており、ミラーニューロンという。この神経細胞は見たものすべてを真似する傾向にある。
  • 間違いなく、考え方、行動、習慣は伝染する。そのため、今よりも自己成長したいならば、自分よりも前を行く人たちとお付き合いし、そうした人たちとできるだけ多くの時間を過ごせばよい。
  • 多くの人は「インプットする」ことを「勉強する」ことと勘違いしている。「インプット」はあくまでも勉強、記憶の準備にすぎず、「アウトプット」こそが本番。
  • たった数時間でも基本を学んでから物事をスタートさせれば自己流で進めるよりも100時間以上省略でき、成長も早い。
  • 何か新しいことを勉強しようという場合、まずは「入門書」を読んで全体像を把握することで効率的に勉強ができる。最初から順番通りに勉強しない。行き当たりばったりで勉強しない。全体像、流れ、方向性を把握してから勉強をスタートするとスピードや効率が大幅にアップする。
  • アウトプットを前提にしたインプットをすることで、同じ時間で同じ体験をしても、そこから得られる情報量と質を高めることができる。
  • セミナーや講演会に参加する場合、「質疑応答では必ず質問する」と決めて講師の話を聞く。この瞬間からアプトプットを前提にしたインプットとなり、集中力が高まる。
  • セミナーなどでリアルに話を聞くと非言語的メッセージが伝わり、話を聞いて感動する。感動が伴う体験はモチベーションを高め、行動化されやすい。
  • 体を動かして覚える記憶は「運動性記憶」と呼ばれ、一度覚えるとほとんど忘れることはないという特徴がある(←→意味記憶)。
  • 勉強の結果を出すなら書きまくり、書きながら音読するとさらにいい。
  • 同じ時間、単語帳やチェックシートで記憶をチェックする勉強をしても、「想起」するだけの勉強と、指や手を動かす「シャドー書き」とでは「シャドー書き」のほうが圧倒的に記憶定着効果がある。
  •  「テスト」には実力判定の側面もあるが、もっと重要なのはアウトプットして記憶に残すということだ。模試の結果は気にする必要なし。模試をたくさん受けることでアウトプット効果が得られて本番ではよりよい点数がとれるようになる。
  • 「人に説明できない」というのは「理解していない」という証拠。説明できないので内容も記憶に残っていない状態。
  • 答えや解き方を教わる前に自力で試す「生成練習」をすればするほど記憶に残りやすくなる。だから、わからない問題に直面したらすぐに答えを見ずに、自分で徹底的に答えを考えてみる。そのうえで答え合わせをするべき。
  • うまくいかない場合は自分よりも知識、経験値の高い人間のフィードバックを必ず受けるべき。自分にとって「はじめての問題」でも専門家から見るとほとんどは「よくあるパターン」なのだ。
  • インプットとアウトプットを繰り返せば成長の螺旋階段を上ることができるが、それは適切なフィードバックがあっての話。
  • 「知識が未熟」だから教えないのではなく、「知識が未熟」だからこそ、自己成長のために積極的に人に教えるべき。
  • 「続ける」ための究極の奥義は、「続ける」なんて考えないことだ。「続けよう」と思うから続けられなくなる。「続かない」最大の理由は「続けよう」と思うから。
  • 「続ける」とは未来ではなく、「過去の結果」にすぎない。「続けよう」と未来に向けて考えると精神的な負担になる。でも、「今日一日だけやればいい!」と思えば楽なもの。とりあえず、今だけやる。今、全力でやる。
  • 努力の量と結果は「正比例」ではなく「指数関数」の関係にある。言い換えると、ティッピング・ポイント(ブレイクスルーポイント)まで頑張れば、その先に爆発的な成長が待っている。
  • 何か物事を始めた時、2つの関門がある。それは「1か月目」と「3か月目」だ。その2つの関門を超えられると「12か月目」まで何とか続けられる。
  • 1年やれば基本が習得できる。3年やれば一通りできるようになる。10年やれば専門家になれる。6か月目で苦しくなった時に「あと6か月で基本を習得できる」とプラスに考えるとモチベーションの維持に役立つ。
  • 私たちの勉強は10年後の自分に対する「貯金」である。勉強の本当の効果は時間差で来る。
  • 続けるための最終法則は「1人でやらない」ということ。仲間と一緒に頑張れば「苦しい」が簡単に「楽しい」に変わる。

 

 

ムダにならない勉強法

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