死んでないだけの日常

日々の生活とか出会ったもの

伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』

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伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』を読んだ。

 自分は小説ってものをあまり読まない方なんだけど、知り合いから勧められて読むことになった。実際にはわざわざ本を買ってもらって、読んでみな、と渡された。読む前に調べてみると短編集と記載があったので、気軽に読めるかなと思って読み進めることにした。

 

あとがきにも書いてある通り、本書の1編である「アイネクライネ」は、実はミュージシャンの斉藤和義さんに「出会い」をイメージした作詞の依頼されたことがきっかけとなっているそう。作詞はできないので代わりに小説を書くこととし、そして「アイネクライネ」が生まれた。斉藤和義さんは「アイネクライネ」の内容を抜き出し、「ベリーベリーストロング~アイネクライネ~」という曲に仕上げており、作詞は伊坂幸太郎さんがクレジットされている。掻きむしるような(?)ギターサウンドに「アイネクライネ」の内容が乗ったキャッチーないい曲だ。「アイネクライネ」に続く「ライトヘビー」は斉藤和義さんのCDの初回限定特典として書き下ろされたものであり、作中には斉藤和義さんの曲の歌詞の引用が多く出てくる。

 

本書は恋愛小説であり、短編集だ。短編集だけど、それぞれの世界はつながっており、一つの短編に出てきた人物などが別の短編にも出てくる。読み進めていくと意外なところで短編間の人物のつながりを確認することができ、あーこうなってたのかーという発見や驚きがたくさんあって気持ち良い。伊坂幸太郎さんの他の小説は読んだことないけど、こういった話の作り方が多いんだろうか。一番驚かされたのは「ルックスライク」だったように思う。なんにせよ面白かった。

 

なんとなくいい表現だなと思ったのは、

「さっきの、出会いの話だけど、結局、出会いってそういうものかなあ、って今、思ったんだ」

「そういうものって、どういうもの?」

「その時はなんだか分からなくて、ただの風かなぁ、と思ってたんだけど、後になって、分かるもの。ああ、思えば、あれが出会いだったんだなあ、って。これが出会いだ、ってその瞬間に感じるんじゃなくて、後でね、思い返して、分かるもの」(アイネクライネ)

 

期待に胸を膨らませて見に行った映画が、タイトルが映し出された時こそ感動が押し寄せてきたものの、上映時間が進むにつれ、「あれ?」と退屈を覚えずにいられなくなり、「いや、これから面白くなるはずだ」「だって、いい監督だもの」と自分に言い聞かせ、挽回を期待し、けれどそれでも気に入らない点ばかりが増していくような感覚だ。(ルックスライク)

↑徐々に冷めていっている関係をすごく的確に例えていると思う。

 

本作を原作とした映画が2019年秋に公開となるようだ。気が向いたら行ってみよう。

 


斉藤和義 - ベリーベリーストロング~アイネクライネ